Claude Codeでも難しいことは何?エンジニアの仕事をやさしく解説
AIが苦手な領域は今もはっきりあります。エンジニアが実際にやっていることを説明しながら、専門家に相談すべきタイミングの見分け方を紹介します。
同じ場所を3回直しても直らない。この状態に入ったら、たいてい作り方の方向が間違っています。そして、それを教えてくれる相手はAIではありません。ここでは、AIが苦手な5つの領域を、エンジニアが実際にやっている仕事の中身から説明します。
まず結論
結論として、Claude Codeが苦手なのは「正解が1つに決まらないこと」です。
「ログイン画面を作って」のように答えがはっきりしている作業は得意です。一方で、状況によって答えが変わることや、影響範囲が広い判断は、今も人間の仕事として残っています。
AIが苦手な5つの領域
1. 「これで大丈夫か」の判断
いちばん大きいのがこれです。AIは、頼まれていないことを考えません。
「予約フォームを作って」と頼めば予約フォームは作られます。でも「他の人の予約が見えないようにして」は、言わなければ入らないことがあります。
しかも、抜けていても画面上はまったく正常に見えます。問題があること自体に気づけないのが、この領域の難しさです。
2. 全体の組み立てを考えること
小さな部品を作るのは得意です。でも**「このサービス全体をどう組み立てるか」**という問いには弱いです。
たとえば、こういう判断です。
- 情報をどういう単位で保存しておくか
- 後から機能を足すとき、作り直しにならない形にするには
- 使う人が10倍になったとき、どこが最初に苦しくなるか
これらは今の正解ではなく、半年後の正解を考える必要があります。AIは、今の依頼に対して最適な答えを出すのは得意ですが、将来を見越した判断は苦手です。
同じところを何度直しても直らない、という状況に入ったときは、たいてい組み立て自体が間違っています。 AIに何度聞いても、同じ方向の答えしか返ってきません。
3. 動かなくなったときの復旧
公開したサービスが突然動かなくなったとき、原因を突き止めて元に戻す作業です。
これが難しいのは、原因が1か所とは限らないからです。使っている外部のサービス、通信の設定、データの状態、それらの組み合わせ。全体を理解している人でないと、どこから調べるかの見当がつきません。
しかも、止まっている間は時間との勝負になります。 落ち着いて切り分けられる経験が要ります。
4. 「本当は何が欲しいのか」を引き出すこと
依頼した人自身が、自分の欲しいものをわかっていないことはよくあります。
「予約システムが欲しい」と言われて作ったら、本当に困っていたのは予約ではなく、予約後の連絡の手間だった。こういうことが実際に起こります。
これを対話しながら明らかにしていく仕事は、今も人間のものです。
5. 責任を持つこと
これは技術の話ではありませんが、重要です。
問題が起きたとき、責任を取るのはAIではありません。 使った人です。だからこそ、最後に「これで出す」と決める人が必要になります。
自分とAIでできることが多い
- 自分や友達だけで使うツール
- 学校や会社の中だけで使うツール
- アイデアを試すための試作品
- 利用者が少ない小さなサービス
専門家の知識が重要になる
- 他人の個人情報を預かる
- お金のやりとりをする
- 利用者が一気に増えたとき
- 動かなくなったときの復旧
エンジニアが実際にやっていること
「エンジニアの仕事=コードを書くこと」だと思われがちですが、実際には書いている時間はそれほど多くありません。
| 仕事 | 内容 |
|---|---|
| 設計する | 何をどう作るかの全体を決める |
| 分解する | 大きな要望を、作れる単位に切り分ける |
| 選ぶ | どのやり方を使うかを判断する |
| 確認する | 作ったものが正しいか確かめる |
| 直す | 動かなくなったときに原因を探して戻す |
| 説明する | なぜその作り方にしたのかを人に伝える |
AIが担うようになったのは、主に「書く」部分です。 それ以外はあまり変わっていません。
実際、こういう数字が出ています。
48%
AIが書いたコードを「必ず確認している」開発者の割合です。書く作業が速くなったぶん、確認が追いついていない状況が生まれています。
「難しさ」を自分で確認する質問
AIが苦手な領域は、実際に聞いてみると輪郭がわかります。
今作ってもらったものについて、正直に答えてください。
1. この作りで、利用者が1000人になったら何が起きますか
2. 後から機能を追加するとき、作り直しになりそうな部分はどこですか
3. 今の実装で、安全面で不十分な箇所を全部挙げてください
4. 本番で動かすなら、追加で必要になる作業は何ですか
「大丈夫です」ではなく、懸念があれば具体的に挙げてください。
最後の一文を入れてください。 これがないと、楽観的な回答が返ってくることがあります。
返ってきた答えの読み方
| 返答の傾向 | 意味 |
|---|---|
| 具体的な箇所を挙げてくる | その部分は、実際に検討が必要です |
| 「問題ありません」だけ | 確認していない可能性があります。 個別に聞き直してください |
| 一般論しか返らない | そのコードを読んでいない可能性があります |
3回ルール
同じ場所を3回直しても解決しないなら、方向が間違っています。 そのときはこう聞いてください。
さっきから同じところを直しているけど、解決していません。
そもそもこの作り方が適切なのか、別のやり方があるなら教えてください。
今の作り方の問題点も指摘してください。
それでも堂々巡りなら、人に聞くほうが速い段階です。
相談すべきタイミングの見分け方
難しく考えなくて大丈夫です。次のどれかに当てはまったら、一度相談してください。
- 他人の名前・連絡先・住所などを預かるここが該当したら公開しない
- お金のやりとりが発生するここが該当したら公開しない
- 止まると誰かが実際に困るここが該当したら公開しない
- 同じ場所を3回以上直しても解決しない
- 使う人が数十人を超えそう
- 自分でも何が起きているかわからなくなった
とくに**4つ目「同じ場所を3回以上直しても解決しない」**は、わかりやすい合図です。この状態は、たいてい作り方の方向自体が間違っています。時間をかけても解決しないので、早めに人に聞くほうが速いです。
逆に、相談しなくていい場面
不安になりすぎる必要もありません。次のような場合は、気軽に進めて大丈夫です。
- 自分だけが使う道具
- インターネットに公開していないもの
- 学校や職場の中だけで、数人が使うもの
- うまくいかなくても誰も困らない試作品
失敗できる場所でたくさん失敗しておくことが、いちばんの上達方法です。
よくある質問
Q. どこまで自分で調べて、どこから聞くべきですか? A. 目安は「同じ問題に30分以上かかったら聞く」です。1人で何時間も詰まるのは、いちばんもったいない時間の使い方です。
Q. エンジニアの友達がいません。誰に聞けばいいですか? A. 開発者向けの質問サイトやコミュニティがあります。ただし、個人情報やお金が絡む部分は、責任を持って見てくれる人に相談してください。
Q. 公開前に何を確認すればいいですか? A. AIでアプリができた!でも、そのまま公開して大丈夫?にチェックリストをまとめました。
Q. AIに「これで大丈夫か確認して」と聞くのはどうですか? A. やる価値はあります。ただしAIは自分が書いたものを自分で確認するので、見落としがあります。自分の手で試す確認と併用してください。
まとめ
- AIが苦手なのは**「正解が1つに決まらないこと」**
- 具体的には判断・全体の組み立て・復旧・要望の引き出し・責任
- エンジニアの仕事のうち、AIが担ったのは主に**「書く」部分**
- 他人の情報 / お金 / 止まると困る、この3つに当てはまったら相談する
- 同じ場所を3回直しても直らないなら、方向が間違っている合図