実践9分で読めます

プログラミング未経験から、自分のサービスを公開するまでの進め方

何から始めて、どの順番で進めればいいのか。未経験の人が自分のサービスを世に出すまでの現実的な手順を、つまずく場所とあわせて説明します。

作りたいものはある。AIを使えばできるらしい。でも、最初の一歩がわからない。ここでは、未経験の人が実際にサービスを公開するまでの5段階を、それぞれでつまずく場所とあわせてたどります。順番を守るだけで、途中で止まる確率がぐっと下がります。

まず結論

進め方は5つの段階に分かれます。

  1. 1

    自分ごとの題材を1つ選ぶ

    他人向けではなく、自分が困っていることから始めます。

  2. 2

    雑でもいいから動くものを作る

    設計を固める前に、まず触れるものを作ります。

  3. 3

    自分で毎日使ってみる

    使うと、必要な機能と要らない機能がはっきりします。

  4. 4

    公開できる状態にする

    ここで初めて、他人が使う前提の確認をします。

  5. 5

    5人に使ってもらう

    感想ではなく、実際にどう使ったかを観察します。

この順番を守ると、途中で止まりにくくなります。

以下、それぞれ説明します。

段階1:自分ごとの題材を1つ選ぶ

最初に作るものは、自分が使うものにしてください。

他人向けのサービスから始めると、作っている途中で「これ本当に必要なんだろうか」と迷いが出ます。そして多くの場合、そこで止まります。

自分が毎週やっている面倒な作業を1つ選び、それを楽にする道具を作る。これがいちばん完走しやすい出発点です。

題材の例

  • 部活の出欠を毎回LINEで聞くのが面倒 → 出欠入力ページを作る
  • お小遣いの記録が続かない → 自分専用の記録アプリを作る
  • お店の予約を電話で受けるのが大変 → 予約ページを作る

段階2:雑でもいいから動くものを作る

設計を固めてから作りたくなりますが、逆効果です。

理由は、触ってみるまで何が必要かわからないからです。頭の中で考えた設計は、実際に使うとほぼ必ず変わります。

見た目が汚くても、機能が足りなくても構いません。まず動くものを作ってください。AIを使えば、ここは数時間で越えられます。

段階3:自分で毎日使ってみる

これを飛ばす人が多いのですが、いちばん学びが多い段階です。

自分で使うと、こういうことがわかります。

  • あると思っていた機能が、実は要らなかった
  • 考えていなかった機能が、ないと困る
  • 押しにくいボタンの位置

1週間使ってみてください。 それだけで、作るべきものの解像度が大きく上がります。

段階4:公開できる状態にする

ここが分かれ目です。自分だけで使うのと、他人に使ってもらうのは、必要なものが違います。

自分とAIでできることが多い

  • 自分や友達だけで使うツール
  • 学校や会社の中だけで使うツール
  • アイデアを試すための試作品
  • 利用者が少ない小さなサービス

専門家の知識が重要になる

  • 他人の個人情報を預かる
  • お金のやりとりをする
  • 利用者が一気に増えたとき
  • 動かなくなったときの復旧
「作れる」と「公開していい」は別の話です。ここの線引きがわかることが大事です。

他人が使うなら、少なくともこれらを確認してください。

  • 他の人のデータが見えてしまわないか(別のアカウントを作って試す)ここが該当したら公開しない
  • 管理者用の画面に、誰でも入れてしまわないかここが該当したら公開しない
  • パスワードなどの大事な情報が、外から見える場所にないかここが該当したら公開しない
  • 変な値を入力されても壊れないかここが該当したら公開しない
  • データが消えたときに戻せるか
  • 問い合わせ先が用意されているか
上の4つは、当てはまったら公開を止めるべき項目です。

詳しい確認方法はAIでアプリができた!でも、そのまま公開して大丈夫?にまとめました。

段階5:5人に使ってもらう

公開したら、5人に使ってもらってください。人数は少なくて構いません。

多くの場合、3人目までに同じ問題が繰り返し出ます。人数を増やすより、1人ずつじっくり観察するほうが情報量が多くなります。

聞き方に注意してください。

  • ✕「どう思う?」→ たいてい褒められて終わります
  • ○ 黙って使ってもらい、詰まった場所を見る

言葉より、行動のほうが正直です。

各段階で、実際に何を打つか

5段階を挙げましたが、それぞれで使う指示を書いておきます。

段階2:動くものを作る

◯◯を作りたいです。プログラミングは初めてなので、進め方も教えてください。

作りたいもの:
・(機能を箇条書きで3つまで)

条件:
・まずは自分のパソコンの中で動く状態にしてください
・見た目は後回しで、動くことを優先してください

機能は3つまでに絞ってください。 最初から全部入れようとすると、動くまでが遠くなります。

段階4:公開できる状態にする

まず保存先と公開先を用意します。

このアプリのデータを保存できるようにして、インターネットに公開したいです。
無料で始められる方法で、手順を1つずつ教えてください。

保存には Supabase、公開には Vercel が使われることが多いです。どちらも無料の範囲があり、サーバーの管理が要らないので、1人でも運用が続けられます。

そのうえで、安全確認の指示を出します。

公開する前に、次を確認して、問題があれば直してください。
直す前に、まず現状を説明してください。

1. ログインした人が、他人のデータを見られてしまわないか
   URLの番号を書き換えた場合も含めて確認してください
2. 管理画面に、URLを直接入力すれば誰でも入れてしまわないか
3. 鍵にあたる情報が、ブラウザから見える場所にないか
4. 変な値を入力されても、サーバー側で止められるか

さらに、保存側で止める指示も出してください。

データベース側で、ログインした本人のデータしか読み書きできないように
設定してください。Supabase を使っているなら RLS を有効にしてください。
画面で隠すだけの対応にはしないでください。

画面で隠すだけの実装は、URLを直接叩かれると突破されます。 保存側で止めていれば、最後の砦になります。

段階5:使ってもらう

声のかけ方も具体的にしておきます。

突然すみません。◯◯で困っている、という投稿を拝見しました。

同じ課題を感じて、こういうものを作ってみました。
(URL)

無料なので、よければ触ってみてください。
使いにくいところがあれば、そのまま言ってもらえると助かります。

「感想をください」ではなく「使いにくいところを教えてください」と聞いてください。 前者だと社交辞令が返ってきます。

つまずくのはコードではない

実際に進めると、詰まるのは文法ではありません。次の3つです。

1つ目は、動いているように見えて壊れているものを見抜けないこと。 AIが作ったものは、たいてい一見動きます。でも「他人のデータが見える」といった問題は、指摘されるまで気づけません。

2つ目は、どこまで作れば公開していいかわからないこと。 完璧を目指すと終わりませんが、雑に公開すると事故が起きます。この線引きには基準が必要です。

3つ目は、詰まったときに聞く相手がいないこと。 AIに聞いても堂々巡りになる場面が必ず来ます。「そもそもやり方が間違っている」というタイプの問題は、AIでは気づきにくいためです。

何を身につけるべきか

コードを書く力ではなく、判断する力です。

  • この機能は今作るべきか、後回しでいいか
  • この状態で公開して大丈夫か
  • AIの提案は妥当か、それとも見当違いか

これらは、自分で一度サービスを公開まで持っていく経験を通してしか身につきません。逆に言えば、一度やり切れば次からは自力で進められます。

よくある質問

Q. 全部でどれくらいの期間がかかりますか? A. 人によりますが、週に数時間とれるなら1〜2か月が目安です。動くものが最初にできるまでは、数時間から数日です。

Q. 途中で挫折しないコツはありますか? A. 題材を自分ごとにすることです。他人向けのものは、作っている途中で必要性がわからなくなり、そこで止まります。

Q. 作ったものが誰にも使われなかったらどうしよう A. 最初はそれが普通です。むしろ、少ない労力でそれがわかったこと自体が成果です。次のアイデアに早く移れます。

Q. どこまで作れば「公開できる」と言えますか? A. 他人のデータが見えないこと、これが最低条件です。詳しくはAIでアプリができた!でも、そのまま公開して大丈夫?にまとめました。

まとめ

  • 進め方は題材選び → 動くものを作る → 自分で使う → 公開準備 → 5人に使ってもらう
  • 最初は自分ごとの題材を選ぶ
  • 設計を固めるより、まず動かす
  • 公開の前に確認する。他人のデータが見えないかが最重要
  • 身につけるべきは、コードを書く力ではなく判断する力

あわせて読みたい